人文社会科学部上條信彦准教授を中心とするグループは、文部科学省科学研究費「冷温帯地域における稲作の歴史的展開」における北日本初期水稲農耕遺跡の調査で弥生時代中期初めのイネ種子を発掘しました。弥生時代の炭化米がまとまって出土したのは県内5例目になります。遺跡の南500mほどのところには、東北最古かつ北限の水田跡が検出された砂沢遺跡(弥生時代前期、2300年前)が位置しています。昨年度からの調査で、計75平方メートルを発掘し、土坑2基の土壌をふるい分けした結果、炭化米7粒が見つかり、従来は砂沢遺跡だった炭化米発見の最北地をわずかながら更新しました。また、土器に付着する炭化物の年代を測定した結果、約2200年前という結果を得ました。今回の調査で同時に出土した土器などの遺物には、西日本の水稲農耕文化の影響を受けたものと、縄文文化の影響を残したものとが、併存しており、北限域で水稲農耕がどう展開したか、大規模な水稲経営がおこなわれた田舎館村の垂柳遺跡(同中期、2100年前)へとつながる過程が、本遺跡の調査で明らかになりつつあります。
◇2018年度弘前大学北日本考古学研究センター企画展
『津軽に稲作がやってきた!本州北限の水稲農耕文化』(平成30年10月6日~11月11日)
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