JAつがる弘前、農研機構?食品研究部門、青森県産業技術センター弘前工業研究所と弘前大学の研究コンソーシアムは、リンゴ産業の活性化の一環として高付加価値化という目標に取り組んできました。その成果として、2018年1月15日に、リンゴ生鮮食品では国内初の事例となる、機能性表示食品 「プライムアップル!(ふじ)(届出番号:C385)」を消費者庁に届出することができ、さらに、2018年12月18日には、機能性表示食品「プライムアップル!(王林)(届出番号:D399)」を消費者庁に届出するに至りました。
これを機に、機能性表示食品制度の普及に加え、リンゴ産業の現状と展望を県内外の専門家から情報提供していただき、県内の生産者や消費者、関係者の皆様の理解を深めるために、弘前大学大学院保健学研究科、農研機構食品研究部門及びJAつがる弘前では、2019年1月29日に、シンポジウム「青森リンゴシンポジウム~リンゴ生産地域の現状と展望~」を、弘前市のJAつがる弘前本店を会場として開催いたしました。また、全国2位のリンゴ生産県である長野県でも、2月12日に同様のシンポジウム「長野リンゴシンポジウム~リンゴ産業の現状と健康機能性、機能性表示食品~」を開催しております。この両シンポジウムは、国立研究開発法人農業?食品産業技術総合研究機構 生物系特定産業技術研究支援センター「革新的技術開発?緊急展開事業(うち技術開発?成果普及等推進事業)?対象領域:果樹(リンゴ)」の助成を受けて実施されました。
青森リンゴシンポジウムでは、リンゴ生産者、加工業者、流通関係者及び行政機関や一般市民など125名の参加者がありました。本シンポジウムでは青森県内外の8名の専門家を招き、青森県のリンゴ産業の現状や、将来へ向けた様々な取り組み、リンゴの健康機能性などについて計7題の講演が行われ、中でも青森県りんご輸出協会の鈴木隆事務局長によるリンゴの輸出に関する講演が、特に参加者の関心を集めていました。講演終了後には総合討議が行われ、講演者及びコメンテーター9名によって活発に議論が交わされ、リンゴ産業のさらなる成長へ向けた施策等が確認されたほか、質疑応答では、リンゴ生産者から生産現場の諸課題に関する意見があり、リンゴについての関心の高さが見られました。また、機能性表示食品プライムアップル!(ふじ)の試食会は、参加者から好評を得ており、アンケートでは、機能性表示食品のさらなる開発を望む声が聞かれました。
一方、長野シンポジウムでは、リンゴ生産者、加工業者、流通関係者及び行政機関や一般市民など105名の参加者がありました。長野県は、栽培地として高地が多いことや栽培法の相違、兼業農家の減少など、青森県とは異なる特徴が報告され、今後のリンゴ産業の活性化に向け、新たな品種開発が積極的に行われていました。長野県工業技術総合センター食品技術部門では、食品の機能性研究を担う機能性食品等開発拠点棟の開所が予定されており、健康機能性に関する製品開発が期待されています。また、リンゴに関する機能性表示食品開発としては、無調味乾燥リンゴ(セミドライフルーツ)の登録が準備されつつあり、試食品が提供されました。
リンゴ産業には就農人口や耕作面積の減少等様々な課題が山積していますが、健康機能性、省力化、最新技術の導入、行政の支援、そしてリンゴ生産者の気概など、あらゆるチャンネルを活用し、次世代へ世界一の国産リンゴを継承していかなければなりません。今回の2つのシンポジウムが青森県および長野県、さらには日本のリンゴ産業の発展に貢献できることを祈念いたします。