公益社団法人日本油化学会が主催する平成30年度日本油化学会学会賞を弘前大学大学院保健学研究科(地域イノベーション学系) 中川 公一 教授が受賞しました。授賞式は第65回定時総会(平成31年4月22日、東京)に於いて行われました。受賞講演は、9月に東京で行われる第58回年会で受賞講演の予定です。
同賞は、油化学分野における技術進歩、学術研究等において顕著な業績または功績のあった個人に対して授与されるものであり、日本油化学会68年間の歴史のある学会の賞です。日本油化学会は油脂?脂質、界面活性剤及びそれらの関連物質に関する科学と技術の進歩を図り、産業の発展及び生活と健康の向上に寄与することを目的としており、本賞は油化学または工業に顕著な貢献のあった研究成果に対して贈られます。
受賞対象となった業績は、「電子スピン共鳴法(ESR)によるモデル膜挙動に基づく皮膚角層構造に関する研究」です。主な研究手法の電子スピンの磁性を用いて検出するESRは、核スピンを用いて検出する核磁気共鳴(NMR)よりも磁気能率が高く高感度です。この原理は、医療分野で知られている磁気共鳴イメージング(MRI)と同様な原理です。このESR法の強みを、油化学やコロイド界面化学をはじめとする分野で、新たなスペクトルシミュレーション法を取り入れた膜のダイナミクスに関する基礎研究を展開しました。さらに、世界的にも数少ないX-バンド(9 GHz) ESRイメージング装置を試作し、応用研究としてESRイメージング(画像)法による皮膚角層の構造解析で研究成果を上げ、成果の一部を特許として権利化しました。生命科学分野、特に皮膚科学への寄与および発展させた研究内容が高く評価されました。
受賞の様子