【プレスリリース】ナノ接触界面の電気化学的な3次元観察に成功について(理工学研究科)
2021.02.04
研究
【本件のポイント】
- 脂質膜は,細胞の内側と外側を隔てる細胞膜を構成し,われわれの体の中の細胞の機能や形をつくるうえで不可欠ですが,脂質膜が物と接触している界面がどのような状態で存在しているのか観察することは困難でした。
- 今回,バーチャル電極ディスプレイの上に置いた試料との界面に仮想的なナノ電極を発生させ,3次元的な形態を電気化学的に観察する手法を開発し,水溶液中の脂質膜のナノ界面を観察することに成功しました。
- 本手法を利用することで,これまで観察が困難であった細胞が物と接着する接触界面の状態を観察することができるようになり,新しい細胞組織工学の研究が加速できると期待されます。
【本件の概要】
弘前大学大学院 理工学研究科の星野 隆行 准教授,東京大学大学院 情報理工学研究科 遠山 渉 大学院生(研究当時),宮廻 裕樹 大学院生(研究当時,現 同大学院 助教)の研究グループは,水溶液中にある脂質膜が物と接触している接触界面を,脂質膜に何も手を加えずにナノメートルの分解能で可視化することに成功しました。
本研究成果は2021年1月27日(スイス時間)に科学誌「Sensors and Actuators B: Chemical」オンライン版に掲載されました。
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図1:バーチャル電極走査電気化学顕微鏡の構造