弘前大学

微生物由来の酵素を使って非天然リン脂質の合成に成功

2023.04.20

プレスリリース内容

本学研究者

農188体育官网-【体育娱乐】@命科学部食料資源学科 柏木 明子教授
※柏木教授の紹介ページはこちら(農188体育官网-【体育娱乐】@命科学部ホームページ「教員紹介」へ)

本件の概要

本学農188体育官网-【体育娱乐】@命科学部の柏木 明子教授は、岩手大学農学部の西向 めぐみ教授と山田 美和准教授との共同研究により、微生物由来の酵素を用いて非天然リン脂質プラスマローゲンの合成に成功した。この成果は、英国で最も古い歴史を持つ微生物学会Applied Microbiology Internationalが発行する5つの学術雑誌の1つ Letters in Applied Microbiologyにて発表された。

エーテル型リン脂質の一種であるプラスマローゲンは、アルツハイマー病や動脈硬化症など酸化ストレスが原因となる重要な疾病における病態マーカーとしての有用性や、プラスマローゲン摂取による疾病の改善効果が期待されている。しかし、従来利用されてきた動物の臓器などから得られるプラスマローゲンには、特定の化学構造(官能基)を持つプラスマローゲンしか含まれていない。しかし、官能基の違いによって生理機能が異なることが期待されるため、異なる官能基を持つプラスマローゲンの合成が望まれている。本研究は、放線菌由来の酵素フォスフォリパーゼDを使い、天然に存在しない官能基を持つプラスマローゲンを合成した初めての報告である。今回開発した方法論は、様々な官能基を持つ希少?非天然構造を持つプラスマローゲン合成に発展?貢献するものである。

本報告は、文部科学省科学技術人材育成費補助事業ダイバーシティ研究環境実現イニシアティブ(牽引型)「ダイバーシティ実現で北東北の未来を先導」(2016年度~2021年度、岩手大学が代表機関,弘前大学,八戸工業高等専門学校,国立研究開発法人農業?食品産業技術総合研究機構東北農業研究センター,株式会社ミクニが共同実施機関として参画)で開始した研究の成果である。また、公益財団法人長瀬科学技術振興財団、公益財団法人小林財団からも助成を受けて行ったものである。

論文情報

掲載誌:Letters in Applied Microbiology, 2023
論文タイトル:Improvement of solubility of phospholipase D from Streptomyces antibioticus in recombinant Escherichia coli and its application for the enzymatic synthesis of a non-natural plasmalogen
著者:Riko Yamaguchi§, Shamoli Akter§, Aki Kanehama, Takahiro Iwamoto, Meme Hasegawa, Akeno Ito, Megumi Nishimukai, Miwa Yamada, Akiko Kashiwagi (§共筆頭著者)
DOI:10.1093/lambio/ovad049

関連リンク

岩手大学 次世代アグリイノベーション研究センター